『同性婚 私たち弁護士夫夫です』出版記念イベントに行ってみた! #pr

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11月8日、福岡市の西南学院大学にて、『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です(祥伝社新書) 』の発売イベントが行われるということを聞きつけ、行ってきました!

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ゲストは、昨年、AKB関連本として異例の内容!ということで、大きな話題を読んだ『憲法主義 (PHP文庫) 』の南野森さん!AKB48のこっそりファンの私としては二度美味しいイベントです…!

今回は、リブロ福岡天神店さんと、NPO法人 Rainbow Soupさんのコラボ企画でした。会場入り口には、レインボーフラッグが掲げられ、登壇者の著作やお勧めの本の販売も行われていました。南さんの『同性婚』、ゲストである南野さんの『憲法主義』は勿論、南さんお勧めの『差別と日本人』(野中広務  辛淑玉/角川グループパブリッシング/2009)、森野さんお勧めの『変えてゆく勇気 「性同一性障害」の私から』(川上あや/岩波書店/2007)などが並べられていました。

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リブロ福岡天神店さんは、昨年11月に福岡レインボーパレードが行われた際に、店頭においてのLGBT関連本のフェアや、パレード当日のブース出展もされていました。わたしが選書させていただいた『カードキャプターさくら』も並べられていて飛び上がる思いでした。わたしにとってとても思い出深い作品なので嬉しくて堪らなかったです。他にも、少女漫画好き代表みたいな気持ちで、咲坂伊織先生の『BLUE』と『マスカラ・ブルース』、平野アウリ先生の『まんがの作り方』、小林ユミヲ先生の『にがくてあまい』も勧めさせていただきました。本は苦手、という方は、是非漫画を読んでいただきたいです!

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▲2014年11月に開催された福岡レインボーパレードにて、リブロ福岡天神店さんのブースの様子

さて、14時から、まず今回の企画概要の説明や、本の紹介が行われた後、いよいよ南和行さんのご登壇です。

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イベント前半の南さんの講演では、『同性婚』の「第一章 私たち弁護士夫夫です」にあたる、南さんのライフヒストリーが主に語られました。「同性愛者の半生、さぞかしご苦労が多かったことだろう…」と考えられる方も多くいることと思いますが、南さんは軽快な関西弁でご自身の体験を語られ、会場には笑いが起きる場面が何度もありました。詳しいお話は、是非是非、南さんの著作『同性婚 私たち弁護士夫夫です』の第一章をどうぞ!(宣伝です。)

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お話の中で私が強く共感したのは、南さんが家族へのカミングアウトを決意した瞬間のエピソードでした。南さんはお父様の死去をきっかけに、自分が父に思うことと、他の親族が父に思うこととの間にギャップがあったことを知り、ショックを受けたそうです。「家族やから言わんでも伝わるやろ!とどうしても思ってしまう。でも、大人になってくると、離れてしまったりして、ズレちゃうこともある。共有してないとどうしてもズレてしまう。コミュニケーションを取らなくなると、今は母とも兄とも仲良くやってるのに、面倒くさい関係になってしまうんじゃないか?」。そう思い、カミングアウトを決意したという南さん。私も、ついつい相手に対して「言わなくても分かってよ!」と思ってしまうし、長い時間を共有した相手であればあるほど、「言わなくても分かるでしょ」と自己解決してしまいがちです。でも、違う人間、分かるはずがないんですよね。話し合いってちょっと面倒だな、って思って、向き合うことを避けてしまうと、関係自体が居心地の悪い面倒臭いものになって、いつしか離れてしまって…。そうなると、とても寂しいです。南さんも当初はカミングアウトなんて微塵も考えていなかったようですが、いま、こうやって同性愛者であることをオープンにし、活躍している姿を見ると、やはり身近な家族の理解と後押しがあってこそ、外の世界で輝けるのかな、と、側にいるだけじゃないコミュニケーションの大切さを改めて感じました。

カミングアウトした後の、お母様とお兄様との一波乱も、これまた面白おかしく話して下さったのですが、せっかくなので私の言葉ではなく、是非、『同性婚』にて、南さんのお言葉で読まれてください☆(宣伝です。)

前半の部が終了し、少しの休憩を挟んで、後半の部がスタートです。後半では、『憲法主義』の南野森さんも登壇され、おふたりのトークセッションが行われました。

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「手厳しいご意見を頂戴したいと…」と、少々緊張気味に、南野さんに本の感想を尋ねられた南さん。そんな南さんの様子とは裏腹に、「とても読み易かったし、南さんが社会に変わるべきだと求めていることに対して全く同感です」と答えられた南野さん。同性婚に関しては専門分野ではないものの、LGBTであることをカミングアウトできない日本社会にある無言の圧力に対し、違和感を感じていたそうです。南野さんはパリへの留学中に、複数のゲイである友人がいらっしゃったそうです。そして皆さん、家族にカミングアウトをし、更にパートナーも同行しての家族旅行に出掛ける人までいらっしゃったようで、それには衝撃を受けたと言います。日本で、ゲイというと、オネエである、という印象を持っている方が多くいらっしゃると思います。派手な衣装を身に纏って女装し、所謂オネエ言葉を喋って…しかし、当たり前ですが、そうじゃないゲイの方は沢山います。その当たり前の部分が、テレビなどのメディアを通すと、際立った存在のオネエなどの陰に隠れてしまうだけなのです。そういった点で、「ヨーロッパでは普通のLGBTが進んでいる」と南野さんは仰いました。また、思春期の子供が、同性に対して性的関心を寄せ始めたときに、オネエがロールモデルであると理解してしまうのではないか、とも危惧されているようです。「だから、南さんと南さんのパートナーが弁護士である、というのはとても大きい。僕は、南さんがパイオニア的存在だと感じています」と、南さんの活躍のお陰で、偏ったロールモデルが確立しまうことがなくなるのでは、と期待を寄せていました。

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それに対し、恐縮した様子の南さん。南さん自身、同性愛者でありながら、実は今までLGBTの問題にはコミットしてなかった、という意外なお話が。近年、LGBTの子供たちのいじめ問題が度々メディアでも取り上げられるようになり、それを見て、パートナーの吉田さんが「分かる気がする」と呟いたそうです。南さんは、結婚を機に旧友にもカミングアウトをし、おふたりで弁護士事務所を立ち上げてから、テレビや新聞に取り上げられ、今回本を書く運びになったことについて、「今まで見えないところで色んな人が頑張っていた。僕らはたまたまその上にポンと花を咲かせただけ。今まで頑張ってきてくれた沢山の人に感謝をしなきゃいけない」と、この日一番の熱っぽさで語られました。

第一章は、前半の部で語られましたので、第二章以降について、南野さんから南さんへ質問が投げかけられました。

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まず、「第二章 同性愛者からの法律相談」について、主にどんな相談があるのか、という質問。やはり同性婚に関するものが多いのではないかな、と私は予想していたのですが、「恐喝ですね」との南さんの回答に思わず言葉を失いました。アプリで出会って、ホテルへ行き、隙を見て名刺をとり、「会社にバラされたくなかったら金を寄越せ」と脅すケースが割とよくあるそうで、そんな酷いことを、と思わず顔を顰めずにいられません。こういったケースは、一般的な性被害と同じだと言います。相手の弱みを握り、それを出汁にして脅す。LGBTも性的弱者なのです。

先日、渋谷区が同性カップルに対して証明書を発行し、同性婚に関する動きが高まっているが、それに関してどう思うか、という質問に対しては、渋谷区の事例は確かにインパクトはあったものの、やはり結婚とは違う、という点を指摘。婚姻届にお金はかからないが、証明書を発行するためには、実はお金が必要なんだとか!これには驚きました。同性婚賛成派からしてみれば、なんでわざわざお金なんてとるの!と憤慨してしまいそうですが、そうしないとカップルだと偽装し悪用する人がいるからなんだそう。南さんは、渋谷区も悩んだ末に今回の証明書に行き着いたのだろうな、とその苦労を察しつつ、同性婚実現に向けての道のりはまだまだだと感じているようでした。

ここで、会場に来ていた参加者からも意見があがりました。「同性婚ができるように条例でもなんでも作っちゃえばいいのに!」。確かに、ずっと待ち望んでいる人や、LGBTの方々を支援する人にとってはもどかしい現状があり、そう声を上げる気持ちも分かります。南野さんが仰るには、夫婦別姓の問題と、同性婚の問題は似ているようです。大体、テレビで同性婚は賛成か反対か、街頭インタビューを行うと、半々の立場に分かれるが、そもそも街で歩いていただけの人にインタビューするのがおかしいと。「同性婚なんか許したら同性愛者が増えるじゃない!」と間違った認識をしている人もいます。同性婚はしたい人がするだけであって、したくない人には全く関係がありません。それなのに、したくない人に悪影響が出ると反発する人がいます。それは、日本に「皆が我々と同じでなければならない!」という流れが存在していることが原因なのでしょう。近年、LGBTの存在の可視化が少しづつ進んできていますが、表に出ようとすると、それを押し戻そうとする力も必ず表れます。それは、LGBT、同性婚に限らず全てのマイノリティが抱える問題なのです。

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続いて、南野さんのご専門である、憲法の話へ。憲法24条には、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」とあります。この、「両性」という記述が、同性婚のひとつの壁になっているそうです。しかし、憲法24条を書いたベアテ・シロタ・ゴードンさんは、戦前、男尊女卑の風潮を強く感じたことから、結婚によって女性を強制的に縛り付けることがないよう「両性の合意」を強調したのであり、そこに同性婚を禁止する意図はなかったようです。そもそも、当時、ゴードンさんはホモセクシャルという言葉さえも知らなかったんだそう。しかし、同性婚を実施するには憲法改正が必要だと叫ぶ憲法学者もいらっしゃるそうです。森さんは、「両性というのは、男性(女性)同士、両方の、というように解釈していいと思うし、それなら憲法を改正する必要もないんじゃないか」とご自身の考えを述べられました。

「教育の中では、LGBTはどのように扱われているのでしょうか?」という質問もありました。偶々、会場に元教員の方がいらっしゃり、その方によると、学習指導要領に記載はないものの、今年度から文部科学省がLGBTの児童への配慮を呼び掛けたそうです。それによって、福岡市内では研修が行われ、糸島市の学校においては、学校の研究課題として性教育に取り組んでいるところもあるそう。また、大分県の小規模な学校で、全校集会にて性の多様性の話がされたり、島根県では全校生徒向けの研修が実施された例もあるようです。そこで、またまた疑問があがりました。「子供には、いつから教えていくべきなのだろう?」。女子児童であった私は、小学校四年生くらいのときに、女子生徒のみで保健の授業の一環として性教育が行われたように記憶しています。南さんによると、「オカマ」や「女男」などの差別用語は、幼稚園児でも使用しているそうです。きちんと意味を理解している訳ではないようですが、人を馬鹿にする言葉である、という認識もあるようです。つまり、性的指向が生まれる前から、マイノリティに対するいじめの芽というのは芽生えているので、教育も、早い段階から可能なはずなのです。まだ幼いからと放っておくと、偏見や差別が育ってしまいます。幼稚園児であれば、差別用語を使ってはいけないときちんと指導すること、小学生であれば、低学年には性自認について、身体の成長に合わせて性的指向について教育する、と段階を分けることで、無理なく理解を促すことができるのではないでしょうか。参加者の方から、「フランスでは、同性愛を詩的に描いた絵本があり、幼稚園児の頃からそういうものに触れている。それはとても美しい本です」と、芸術からの性教育に対するアプローチについての方法もあげられました。

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南野さんは、九州大学にて教鞭をとっており、沢山の学生に対して、LGBTは人権問題である、ということを訴えかけているそうです。しかし、多くの学生にとってLGBTの問題は自分とは関係がなく、どうでもいい、という感覚が生徒に内在しているのが見えるのだそう。そういうとき、先生は次のように投げかけます。「君には男性のお父さんがいて、女性のお母さんがいて、君は男性で、女性と幸せな結婚をし、子供が産まれたとする。その子がLGBTだと、想像できないだろうか?」。そして、次のように続けられました。「自分の性という核心的な部分を、親にも話せないような社会は不幸だ」。

南さんはパートナーの吉田さんに大学時代に出会ったそうですが、実は同じ高校のご出身だったようです。また、南さんのお兄様と、吉田さんのお兄様は、高校時代クラスメイトだったそう。そのような関係を語られ、「狭い世界で生きているんですよ、僕」と、南さんは笑いました。広い世界で、LGBTの存在がないものにされている一方で、狭い世界の中で、同性愛者が結ばれることもあります。ただただ、見えてないだけ、知られていないだけ、言葉にできないだけなのです。

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「LGBT?なにそれ?同性婚?ああ、なんか最近ニュースで聞いたかも」。そう思っているだけの方にとっても、いつか突然LGBTの問題が、目の前の人生の壁となることがあるかもしれません。また、大事な人が悩んでいることを知る日がくるかもしれません。そんなとき、『同性婚  私たち弁護士夫夫です』が何かの鍵になることでしょう。(宣伝です。祥伝社新書より絶賛発売中であります!)

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とても勉強になる、充実した2時間でした。南さんがあまりに素敵な方で、お話しを聞いているだけで大好きになったので、私もこの本が沢山の人の手に渡ることを願っています!

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コメント

  1. a より:

    「自分の性という革新的な部分」は「核心的」ではないでしょうか。

  2. ohta6322 より:

    読んでいただきありがとうございます!
    ご指摘していただいて助かりました。
    早速修正しました。

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